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2022年 過敏性腸症(新しい治療の考え方と薬の使い方)
《小児から成人まで》

2000年、腸管神経と呼ばれる腸の神経は人の身体のどの器管より多くの免疫細胞を持ち、20種以上のホルモンを分泌し、人の感覚を大きく左右していることが判明し、第2の脳と呼ばれる様になった。
腸と脳は神経の大きなケーブルによって両方向に結合しており、腸で生成されたホルモンや炎症性のシグナルは脳にデンタツされ、脳の機能に大きく影響し、脳の機能を変化させることが判明した。
内臓感覚、内臓反応、内臓刺激の異常は様々な症状を引き起こすことも証明された。
この原因となるのが低悪性度炎症と言われる組織の炎症であり、この炎症によって腸内細菌が作り出す科学物質が脳の10番目に神経(迷走神経)を通して脳を刺激し、慢性疼痛を起こしていることも理解された。
即、腸内細菌の不調(数や種類の減少、バランスの悪化)がほぼ全ての機能性疾患と関係していることも分かり、2014年新しいIBSの治療(神経ブロックと腸内細菌のバランス調整)の出発点となった。

腸と脳の双方向コミュニケーション

腹鳴、頻回の便意等の様々な症状は全て迷走神経を通して腸内細菌の作り出した科学物質が脳を刺激することで発生する為、迷走神経のブロックが治療の第一であることが証明された。
ついで、この科学物質を多く作り出す、腸内細菌を安定させて科学物質の合成を阻止することが第2のポイントになる為、多くの薬のテストが行われた結果、腸内細菌をリセットする為の多くの種類の抗生剤(バンコマイシンやリフキシマ等々)が発見された。
これによってIBSの診断と治療は大きく進歩した。第1が迷走神経遮断、第2が腸内細菌のリセット。この2つにより早期に症状を取り、日常生活を安定させることが最も大切とされ、2016年からアメリカUCLAの消化器内科で、治療が開始され良好な成績を納めている。
この様な情報は当然日本にも入っており2020年版の日本消化器病学会のIBS治療ガイドラインでは、抗生剤の治療は最も良いAにランクされています。
しかし、この治療を患者さんに進めた方が良いかの判定は最低ランクお勧め出来ないとなっています。
最も有効な治療方法がお勧めの出来ないとなっているおかしな結果はこの薬が日本では保険が適応になっていないからと推測されます。
しかし、保険外でも患者さんが希望すれば自費で使うことは医療法で認められていますので、私どもではこの方法を皆さんに説明しています。
そのあとで、先に述べた様に根本的な治療の為の腸内細菌の安定化の為の食事療法を勧めることにしています。
根本的なIBSの治療の為には食事療法が必須であることは2020年オランダのクローニンゲン大学やアメリカのメンフィス大学が実験と実証をほぼ同時に報告しています。
食事についてはYouTube(ドクターフジヨシ)で詳しく説明しています。
こちらを参考にして下さい。
この結果、現在の新しいIBS治療の基本は症状がおこれば1、2でまず、症状を取ってしまいます。これによって日常生活から不安をとり除くことを第1としています。
再度起こっても同じ治療を繰り返せは多くの場合、同様の効果が得られます。
適切な治療による症状の改善は自ら症状の出現をうまく抑えることが出来るようになり、再発を恐れる事がなくなり、薬の量もへってくると報告されています。
この様にIBSの本態と解決法がみえたことで今までの様な原因不明の不安が減り、解決への光が見えてきているのです。
メールでの相談も受けつけています。お困りの方は利用をお待ちしています。

 

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